抹茶の名称

抹茶には、その種類を示す様々な名称がありますが、抹茶メーカーが独自で線引きするものも多く、定義や品質は様々です。一般的及び山政小山園の考え方をご紹介します。

飲用(茶道用)抹茶

主に茶道のお点前や飲食店、ご家庭において、茶筅で点ててそのまま飲用することを前提にブレンドされた抹茶です。抹茶の味をそのまま楽しむため、点ててそのまま口にしても、苦渋みが少なく飲みやすい一定品質以上のものを示します。

その線引きはそれぞれの抹茶メーカーが独自に行っており、明確な定義(製法や成分など)はありません。山政小山園では、茶寿の昔から槇の白までの12グレードの商品及び、お家元から頂戴した茶銘の商品を飲用として販売しております。

濃茶と薄茶

飲用(茶道用)の抹茶には、濃茶と薄茶という分類があります。これは厳密には抹茶の点て方を示す単語であり、品質を示すものではありません。抹茶は通常1.5~2g程度を60ccから70cc程度のお湯で点てて飲みますが、この分量の点て方を薄茶と言い、この倍以上の抹茶を入れて練るようにして点てる抹茶を濃茶と呼びます。

濃茶を点てる場合は濃く練りますので、苦味や渋味が強くなりがちな並級品以下の抹茶は濃茶用としては適しません。つまり上級抹茶は濃茶と薄茶の両方に使うことができますが、並級品以下は薄茶専用に使うことになります。そのため茶小売店では、濃茶用にも使用できる上級の抹茶を「濃茶」、薄茶専用の抹茶を「薄茶」と呼ぶ場合もあります。

山政小山園では、「先陣の昔」以上を濃茶用におすすめしています。

食品加工用抹茶

一般に、食品の風味付けに使用される抹茶は、食品加工用抹茶、業務用抹茶など、飲用と区別している抹茶メーカーが多くあります。山政小山園でも、加工用特Aから加工用3号という商品まで5種類をご準備しております。食品加工用途の場合、抹茶の風味を劣化させてしまう加熱加工や、他の風味の原料と混合することも多く、そのまま飲用できる品質(苦渋味の少なく高価なもの)が必ずしも必要とはいえません。

「そのまま飲むには苦渋味が強いが、抹茶の風味付けに使用できる」という線引きを各抹茶メーカーが独自に行い、一般的に飲用より安価に提供されています。また、食品加工専用に機能性を持たせた抹茶も販売されており、それらを総称した名称です。

宇治抹茶とは
(表記できる要件)

抹茶を使用した菓子などには、「宇治抹茶使用」という表記がよく見られますが、国の法律や行政・業界内での統一した明確な定義はありません。「宇治茶※1」の要件を満たす「抹茶※2」であることと考えられ、当社もそのように捉えています。

  1. 「宇治茶」の要件(京都府茶業会議所)http://www.ujicha.or.jp/
    宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、
    ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、
    京都府内業者が府内で仕上加工したものである。
    ただし、京都府産を優先するものとする。
  2. 抹茶とは(公益財団法人日本茶業中央会)http://www.nihon-cha.or.jp/
    覆い下で栽培された生葉を揉まないで乾燥した碾茶を茶臼で挽いて微粉状に製造したもの。

有機抹茶とは

有機抹茶の定義

日本における有機抹茶とは、有機JASマークを取得した抹茶です。
有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。(農林水産省Webサイトより一部抜粋)

有機抹茶の品質と価格

有機抹茶は同じ収量に対し、手間や資材のコストがかかるため、一般には同価格で味や香りが劣り、同じ味を実現しようとすればどうしても高価格になってしまうと言われています。

※山政小山園では有機抹茶を取り扱っておりません。

従来の抹茶(有機抹茶以外)の安全性

日本では、古くから茶の栽培を続けてきた歴史があります。優良品種の選抜や、味や香りを最大限引き出す肥料、被覆技術の開発、防虫・防除の工夫や薬剤など、安全性を前提にしたうえで、試行錯誤を繰り返した歴史です。

現行法では、残留農薬基準(食品衛生法)を満たす農薬散布基準(農薬取締法)により、安全性が担保されていますので、有機抹茶が安全で、それ以外が安全でないということではありません。

より美味しいお茶をより適正な価格で安全にお届けするため、山政小山園も低農薬栽培や有機肥料の使用などに務めながら自園での茶栽培に尽力しています。

着色抹茶

抹茶は加熱加工や光によって変色・退色してしまうため、最終商品の色の鮮やかさや賞味期限内の色の変化を小さくするために、食品加工用に着色料が添加された抹茶が販売されています。
主な着色料はクロレラやスピルリナ、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)など自然の葉緑素をもつ藻類が一般的です。自然の抹茶より濃いみどり色をしており、熱や光での退色を軽減した商品ですが、添加による風味の変化は否定できません。

※山政小山園では着色料を含め添加物を使用した抹茶は一切製造しておりません。