山政小山園の抹茶

抹茶は時代を超えて

茶は鎌倉時代に栄西禅師がその種子を宋より持ち帰り、抹茶の製法とともに日本中に広まりました。養生の仙薬として紹介され薬用として重宝された茶は、歴史を経て茶の湯という文化的な体系が確立。抹茶は人をもてなす役割を担います。戦後は女子の教養として広く普及した茶道とともに、美しい着物姿と華やかな茶会で楽しまれる飲み物となりました。そして現代では、ブームもあり和洋菓子における定番のフレーバーになっています。海外においても広がりをみせ、日本文化の象徴として豊かな風味、健康効果等により、様々に愛される存在です。

抹茶の未来

このように、抹茶は食品としての本来の魅力「美味さ」とは別に、様々な付加価値を持っています。そのため抹茶の「美味さ」は、時にそれら付加価値の裏に隠れることもあると感じます。敷居が高く高価なイメージがあり、気軽に飲めないという話や、点て方や飲み方(作法)がわからないので興味があっても敬遠してしまうという声も聞きます。抹茶菓子や加糖された抹茶飲料に親しんだ結果、点てた抹茶は苦くて飲みづらいという思い込みや、健康目的であるため風味には関心が薄い場合もあるでしょう。産地を含む各種ブランドへの盲信も、抹茶の本来の美味さとは別の話です。

最近、抹茶風味の菓子や飲料が大好きでも、抹茶は飲んだことがないという話をよく聞くようになりました。また抹茶菓子ブームの需要のため、安価で粗悪なものも多く流通しています。北米や欧州、アジアなど抹茶は世界的ブームですが、輸入コストの問題もあり、飲用には耐えない苦渋みの強い安価な抹茶が、飲用として流通している現状もあります。一方、品質のよい飲用の抹茶の消費量は、娯楽や教養、文化の多様化で、主たる消費である茶道向けを中心に年々減少しています。このままでは、抹茶の「美味さ」という飲み物本来の魅力が失われてしまうかもしれない。我々は抹茶の未来をそのように憂慮しています。

我々の抹茶

祖先が茶生産家であった我々は、栽培・製造・加工・審査・ブレンドの技術を受け継ぎ高めながら、抹茶を作り続けています。それは、抹茶の「美味さ」を追求してきた歴史です。

文化、芸術、流行、伝統、健康・・・抹茶の魅力が多面的である以上、抹茶を楽しむ入口はなんであってもよいと思います。点てた抹茶だけにこだわるのではなく、菓子の風味付けでも、ミルクを混ぜても、ソーダで割っても、目的や嗜好に合わせて自由に楽しんでいただきたい。

しかし、抹茶に魅せられ飲みたいという方のために、「美味さ、ありき」を貫き、美味い抹茶をご提供し続けることが、我々の使命であると考えています。それは、ごく一部の人々のために高価な抹茶だけを作るということではありません。また、安価な抹茶だけを大量生産することでもありません。お求めいただける皆さますべてに、「適正な価格で、より美味いもの」をお届けしたい、そう思うのです。

「たくさんの方に、美味しい飲み物として抹茶を楽しんでいただく」

これからも、抹茶が日本そして世界中で愛され続ける存在であるために、必要なことだと考えています。それが、我々の矜持であり、我々の抹茶です。どうか、これからも山政小山園の抹茶に変わらぬご愛顧を、お願い申し上げます。